2017年09月20日

9月20日の記事

ケチでうるさい専務のもとで仕事をしている。
自宅に戻り、居間でしばし休憩をとる。

珈琲を蒸留水でおとし、作家物の気に入ったカップで啜る。
「へ~疲れた。あ~やだやだ」なんて言ってみたりして気を紛らわす。

後ろのほうで、ズッズッとすり足の歩みの義母が
居間に入ってくると私を通り過ぎて、隠してある

家計財布に行くとゴソゴソと物色しはじめた。
何をしているのかと興味深く見ていると

札を何枚か物色し一枚取り出した。
そして、ゆっくりと私に向かって歩んできた。

「これ、持っていなさい」と5000円をくれた。
意味がわからない。

「何ですか、このお金は」と聞くと
「いいから持っていなさい」と言った。

もしかして、義母も高齢になってきたので、今までの感謝のお金かと思った。
突然の別れがきてしまうのかと思い、じゃっかんだが、不安になった。

私が幼少の頃、祖母が前日まで元気であったが
翌朝、布団に寝たまま、彼岸にわたり二度と目を覚ますことはなかった。

祖母を起こしに行き、動かぬ祖母の顔を触ると
手をパッとはなすほど、冷たかった記憶がある。

明日の朝がこわいと思った。

義母が自分の部屋に戻ったあと、家計財布を見ると
1万円札が数枚入っていた。

義母は、その中から、5000円札を選んだのだ。
まだ、しっかりしていると思い先ほどの不安は吹っ飛んだ。  


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2017年09月12日

9月12日の記事

「夫または、妻になる人は前世で敵同士であった可能性が高いらしいよ」
友人のRちゃんは、真面目で優等生で冗句もいわず、理系脳にも

かかわらず時々、びっくりするようなトンデモ話しをしてくれる。
その時は、そんなものかと思ったものだが、今、間違いなく

自分は、敵と生活している。Rちゃんの話しのウラが今とれたような
気持ちで過ごしている。

長雨で洗濯物の乾きがわるいのでリビングに干していた。
そのことが夫は気に入らないらしくサンルームをつくった。

しかし、長雨がつづくといくらガラス張のサンルームでも乾かない。
仕方なく、除湿機と扇風機を持ち込んで乾かそうとすると

夫が「やめてくれよ。金かけた意味がないじゃないか。こんなことしなくても
窓をあけておけば乾くよ」と細い目をまん丸くして怒りだした。

私の経験上、雨の日に何もせずとも乾くわけもなく、
「除湿機をサンルームに入れないと乾きませんよ」と何度も反論したが、

聞く耳もたずで、同じことの繰り返しであった。
諦めて、そのままにした。

案の定、洗濯物は雨つづきのサンルームでは
2日干しても乾くはずもなく、そのうちには、生乾きの

匂いがしてきたので、気持ち悪いの家族全員の服を
捨ててしまった。

吝嗇な夫が、この光景をみて、また怒りだした。無視して
今度は、サンルームは使わずに、部屋干しにし、エアコンの風で乾かすことにした。

数日後、夫の姉が家族連れで連泊に来た。
洗濯物がいよいよ飽和状態で

干すところがなくなり、
義理姉が夫に「サンルームに除湿機おいて乾かしたほうがいいよ」と言うと

夫は、2階に数日前にしまったばかりの除湿機を
持って降りてきて私に向かい

「除湿機使わないと乾かないんだよ~」と半ば
私が阿呆で除湿機を使うということを知らないんじゃないの

と言わんばかりの物言いであった。
腹の底から、何か湧き立つような怒りがこみ上げてきた。

「ええ~い、離婚届けもってこ~い」と
絶叫したいほど腹がたった。

「私は、何度も除湿機をかけないと乾きませんよ、と、言いましたよね」

と義理姉の前で夫にまくしたてた。
夫は、義理姉に助けを求めるがごとくの悲しげな眼を向けて

「そんなこと言ってないし、聞いてない」と言いながら、義理姉にこの人
少し、オカシイんだよと言わんばかりのジェスチャーをした。

どうやら前世は敵のうえに、周波数まで違うらしいのだ。
合うわけがない。

Rちゃんに今度あったら、
「私は、敵の陣地で暮らしているよ」と伝えようと思う。






  


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2017年09月10日

9月10日の記事

忘れられないお客様がいる。
何がきっかけで来るようになったのか

忘れてしまったが、いつの頃からか
よくご来店いただいた。

白髪のネッカチーフを巻いたオシャレな好好爺で、
英語まじりでお話しされる素敵な方であった。

亡くなった奥様のことをお話しされては、涙を
流し、私も一緒にもらい泣きをするほどであった。

ある晴れた日、店になぜかアロエの鉢を二つ持って現れた。
「これ、あげるよ。これね食べられるんだよ」と言い

さっきまで、太陽の下で輝いていたであろう青々とした
アロエの鉢を床にドンと置いた。

その瞬間にダンゴ虫が数匹床の上を
ゴロゴロと転がった。

私は、そのダンゴ虫の行方を目で追いつつ
アロエの鉢を持ちあげて、「ありがとうございます」と

お礼を言った。
「ねえ、食べてみてよ」と言うので

仕方なく、カッターで切り取り、
そこにいる人数分に切り分けた。

私は、誰かが食べるのを様子を見ていた。

年老いた社長が疑いもせずに
口に放りこんだ。

その次の瞬間「うわーニガイ」と叫んだ。
私も口に入れるフリをして「本当にニガイ」と言った。

好好爺は「体にいいんだよ」と言って
慣れてる様子で口にパクッと入れた。

皆がお茶を飲んでいる間に
ダンゴ虫を拾って外の安全な場所に

そっと置いた。

ある日には、
好好爺は、新しい車を買うと

店に来て「ねえねえ、車買ったんだよ」
見てと言い、外に行くと

白い可愛い軽自動車を自慢そうに見せてくれた。
「これねえ、パンダちゃんみたいで可愛いでしょう」と言い

屈託なく笑った。
「本当にパンダちゃんみたいで可愛いですね」と一緒に笑った。

これが最期の会話となった。
大病を患っていたので、仕方がなかったのだが・・・。

今もうちの庭には、貰ったアロエの鉢が
太陽の下で青々としている。



  


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